はらり、ひとひら。


「おーい席着け」

本鈴が鳴って、矢野先生が姿を現した。出席をとる前、先生はさり気なく呟く。


「九条は具合悪くて今保健室で休んでる」


一瞬、先生がこっちをチラッと見た気がした。


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「先生っ」

朝のホームルームが終わって、先生の元へ駆け寄る。多分、先生もどっちにせよ私たちのことを呼ぶつもりだったと思う。



「先生。私の考えすぎかもしれないんですけど、聞いてくれますか?」


嫌な顔ひとつしない先生に、今日みた悪夢を洗いざらいすべて話すと先生はさして驚いた顔もせず、ふうっと息を吐いた。


「予知夢みたいなもんか。残念だけど多分正解だな。HR前に保健室に顔見に行ったらさ、九条から妖の気配がしたんだ」


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