はらり、ひとひら。


やっぱり…じゃあ飛鳥は─ぞくっと身震いし、今朝の光景がフラッシュバックする。


「蛟。雪路」

ごく小さな声に反応した二人が音もなく現れる。


「手分けして、付近に妖が居ないか探して来てくれ。見つけ次第俺に連絡。くれぐれも無理はしないこと。あと、見えない奴ら…もとい人は絶対に巻き込むな」


ふたりは落ち着いた様子で頷いた。そういえば、暫くふたりに逢ってなかった気がする。どちらも変わらない様子で凛とした佇まい。


「やっ、お久しぶり。巫女さん?」

「蛟。馴れ馴れしいわよ」


にこやかに手を振る蛟に苦笑いすると、呆れたといわんばかりに雪路が叱る。


「雪路は校舎内を」

「わかりました」


「蛟は外の見張りを頼む」

「了解」


頭を下げた雪路は冷気を残し、音もなく消える。蛟はゆらりと人型から龍の姿へ変わり、先生が開け放した窓から飛び立っていった。び、びっくりした。


「雪路は雪女で、蛟は龍の妖なんでしたっけ?」


「あぁ。…あーでも、蛟確か龍神らしいんだよな。妖より神寄りなんだそうだ。ついでに言うと、ああ見えても戦いに好戦的なのは雪路の方なんだ」


「…えっ」


蛟、神様なの!?じゃあ先生は神様を従えてるってこと?

先生ほんとに何者…?



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