はらり、ひとひら。
思わず訝しんでしまうけど、先生は「俺も当時は神様だなんて知らなかったから」と弁解した。
…なんていうか、先生らしいや。
─放課後。飛鳥の両親は忙しく、職場もこの町から遠く迎えに来るのは夜になってしまうらしく、一日学校で眠っていた。
帰る前に保健室に寄っていこうと向かった矢先。
「飛鳥!?目、覚めたの?よかった…」
彼女はふらふらと、よろめきながら校内を歩いていた。名を呼ぶとゆっくり、ねじのおかしい人形のように首を傾げる。
「あすか…?」
なんだろう─この感じ。
『お前が、杏子、か』
「っ」
違う、やっぱり。飛鳥じゃない。あの子はこんな笑い方しない。
不気味さに喉が鳴る。思わず後ずさると、神崎君と先生にぶつかった。
「っ、二人とも…」
「ようやくお目覚めってか」
「やっぱり憑かれてるね。どうして九条に憑いたの」