はらり、ひとひら。
飛鳥だけど飛鳥じゃない。妖はにたりと口を持ち上げ告げる。
「無論、お前に近づくためさ。この子は弱いし隙も多いし、いい器と思ってね」
そんな身勝手な理由で、見えない人たちを巻き込むなんて許せない。ぎっと強く睨む。
「血狙いなら真っ向から掛かってくればいいでしょ。受けて立つ。だけど妖が見えない、関係ない人を巻き込むのは許さないよ」
「…血だと?なんだそれは」
「とぼけないで!」
きつく言うと妖は暫く考える素振りを見せ、ぎこちなく小さな声で「すまん」と謝った。
面食っていると飛鳥は、さっきとなんら変わらない声色で話し始めた。
「お前に、協力して欲しいことがあるのだ」