はらり、ひとひら。
飛鳥の意識が戻った…!
「あれ…あたし、なんでこんなところに?先生と神崎。それに杏子まで…え?ていうか今何時?」
目を擦りながら、飛鳥は寝起きの口調で喋りだした。混乱しているようだ、無理もない。
「朝、倒れたの覚えてるか?」
「え。倒れた?」
矢野先生の問いに、飛鳥は首をかしげた。覚えてないのだろうか。
「言われてみれば倒れたかも…?そうだ。いきなり体が重くなって─ガクッといったんだっけ。なんだったんだろ。なんだか凄く、身体が軽くなった気がする」
よく寝てたからな、と先生が笑う。
とり憑いていた妖が去ったからなんて、口が裂けても言えやしない。…そうか。これから先、飛鳥や秀くんにはこうやって─言えない秘密が増えていくんだ。
「じゃ、今日はもう帰れ。暗いし病み上がりだし、送ってくぞ」
「ありがとうございます」
先生は私と神崎君に目配せし、飛鳥の背中を押して外へ行ってしまった。