はらり、ひとひら。
てっきり緩んだ顔をみられていたかと思っていたが、天音はただじっと東の空の方を眺めていただけだった。
部屋に入るや否や疲れがピークに達したのか、重い瞼が、ゆっくりと降りてくる。
「杏子!!」
「ぎゃっ、な、なに!?」
まどろみ始めた矢先、師匠の声によって意識が覚醒。叩き起こされ心臓が縮こまる。
「なんだこのざまは!この妖はなんだ、説明してもらおう」
ああでも今は…師匠の怒声すら子守歌のように聞こえてしまう…カクンと沈む首と寝ぼけ眼にいよいよ師匠は激怒して尻尾が鞭のように頬を叩いた。
「イッタ!!」
「杏子」
有無を言わさない声。あ…めちゃめちゃ怒っていらっしゃる。
「すいません…」
観念して私は、事情を話した。