はらり、ひとひら。
「そういうわけだ。悪いがこっちも時間がない、暫く世話になるぞ」
「ふん。友を探すなど、自力でやれば良いものを。人間のこいつが関わることではないだろう」
冷たくあしらう師匠。いつもこうだ。私を危険に晒さないよう師匠なりの思いやりだと思うんだけど、私も初期よりはかなり強くなったはずだし、ここまで過保護じゃなくても…
「お前もいちいち、関わらなくて良い妖に自ら関わるな。何が起こるか分からないと、何度言ったらわかるのだ」
確かに、何が起こるかは分からないけど。でもできることはゼロじゃないでしょ?言いたかったけれど、師匠が存外つらそうな顔をしていて口をつぐんだ。
「私が勝手に巻き込んでしまったのだ。すまない。協力しなければ杏子の友人を食うとも脅した。しかし誰も傷つけないと約束しよう。護ると誓う」
「っ、それは違─」
なにか言わなきゃ、と思って口を開いたが、次の天音の行動に、私の言葉はしぼんでしまった。