はらり、ひとひら。


【白狐side】


「酷い邪気だな」


常人が入れば、ひとたまりもないほど夥しい気が辺りには満ちている。


「白狐」

「祓い屋の小僧か。何だ」


相変わらずもやしのような見てくれだ。こんなやわっこい、まだまだひよこのような奴が刀を振り回すとは神崎の前頭領は焼きが回ったのか。


「また喰われてる」


「そうか…」



森の南側ではここ最近、力の弱い妖が立て続けに喰われている。丸のみしているわけではなく、はらわたや胆など美味な部分を知っているようだ。


残骸はあちこちに散らばっている。



妖はそもそも、どんな下賤な者であろうとも共食いなどしない。この食い荒らし方、邪気は十中八九。



「…邪鬼が出たんだね」


小僧の言葉に素直に頷く。




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