はらり、ひとひら。
「西の方でも、妖の遺体を見た。すっかり小さい妖たちは怯えて、隠れているのかあまり姿を見ないね。あちこちで妖の遺体は日に日に増えているみたいだ」
「無駄なことを。隠れても本能で炙りだすだろうな。弱肉強食とはまさにこのこと」
邪鬼は理性の飛んだ妖のなれの果て。知性はないが、生物のうまい部分は熟知している。狩りの仕方も。
面倒だ。今日あたり、杏子を連れて来て祓わせるか。
「せいぜい喰われんようにな」
「うん。白狐も気を付けて」
「油断してると襲われるよ」
「お前らなんぞと一緒にするな」
私はそんな奴に喰われるほど弱くない。と言い返そうとした時だった。
『ぐああぁあ!!』