はらり、ひとひら。


「私の友人の名は、東雲という」

「しののめ…綺麗な名前だね」


なんだっけ。聞き覚えがあるなあ。前に現国の授業で習った漢字にそんな響きがあった気がする。


顔を上げると天音は少しさみしそうに笑った。


「東雲は他人と上手く付き合えなかった私を理解し、傍に居てくれた」


「そうなんだ…優しいんだね」


「あぁ」


自分が褒められたみたいに、嬉しそうに天音は笑った。


「ずっと…傍に─」


「え?」


ふと漏らされた呟きは、とても小さく聞き取れなかった。


聞き返しても天音は静かに笑うだけ。


「…大丈夫。きっと、見つかるよ。苦しんでる東雲を、救ってあげよう?」


「あぁ」

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