はらり、ひとひら。
静かな時間を打破したのは、ごうごうと近づく嫌な気配だ。これは、妖の気配。
しかもなんで家の玄関の前で、焦るが腹を括りばっと振り向く。
「…師匠!?」
なんだ師匠か、よかった。本来の姿に戻った白狐はふわりとと私の前に着地する。
あれ…?
「っ、師匠。怪我してる、そこ背中のところ…!」
「大した傷じゃない。きゃんきゃん騒ぐな。それより」
だって血が、と更に言葉をつづけるとうるさいと一喝され黙る。うう、心配くらいしたっていいじゃないか。師匠はぐるりと天音のほうへ向き直る。
「お前の友人、名はなんという?」