はらり、ひとひら。
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【白狐side】
「いつまで、杏子に嘘を吐くつもりだ?」
下手な寝たふりはやめろ。言うと、天音はむくりと起き上がった。
「気付いていたのか」
「気付かん方がおかしいだろう。杏子は意外にも鋭いぞ」
「…森で」
弱い声だった。
「邪鬼が出た─のだな?」
「ああ」
奴は私から視線を逸らし、布団で寝息を立てている杏子を見やる。
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