はらり、ひとひら。
昨夜、ずっと天音と師匠の会話を聞いていた。
盗み聞きしていたわけじゃない。色んな思いがまぜこぜになって、寝付けなかった。
師匠の怪我の原因や、東雲ってどんなひとだろうとか。もし師匠の怪我の原因に、いやなことが隠れていたりしたら、とか。
悲しいかな予想は的中してしまった。まさか、東雲が…天音がずっと探していた友人が、邪鬼になってしまったなんて。
もし身近な友人がそうなってしまったら、自分だったらどうだろうか。
我を忘れ、ただ邪な考えで動く狂ったものになってしまったら。
─私だったら、耐えられない。
「杏子。起きたか」
「師匠…おはよ」
窓の外に目をやると、清々しい青空だった。
日に照らされ青々としていた森が綺麗だ。