はらり、ひとひら。


「お人好しめ」

やわらかムードをぶち壊すようにそっけなく、師匠は言い放った。むっとしたので、言い返す。


「煩いよ師匠はもう!人助けも巫女の仕事のうちでしょ」


「そんなこと聞いたこともないがな」


ふんだ。意地っ張りめ。実はゆうべの話聞きながらちょっと感動してたくせに、と言いたかったが反感を買いそうだったので、大人しく鏡に向き合い手ぐしで髪を整える。


「その格好は、久々に見るな」

「えっ?」


あぁ、巫女服のことか。確かにこうして着たのは久しぶりかも。


邪鬼相手にそういう類のものの耐性ゼロの服で挑んだら素っ裸になってしまうし、そんなやばい事実はどうしても避けたい。


…と。


「妖気!」

ぱっとドアの方を向くと、


「森へ行くのかい?」


灯雅がそこに現れた。
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