はらり、ひとひら。
「私は天音。その邪鬼は、私の友人。これから助けに行くんだ。祓い屋なのか知らないが頼む、どうかそれに手出しはしないでくれ…」
哀願する天音。灯雅は困ったようにちらっと私の目を見た。
「助けにって、一体どうするつもりだい。邪鬼になった妖はふつう助からないよ」
「分かっている。せめてもの償いに、いや、ただの私の我儘だ。私情を挟んで申し訳ないのはわかっている。最期はこの手で終わらせてやりたいのだ」
広がる沈黙。暫くし、灯雅がおかしそうに笑った。
「そうかい。結構結構。じゃあ、主にそう伝えておくよ。後で私らも時間があったら森へ行こう」
「来なくて結構だ。お前たちの出る幕などないぞ」
「こら師匠。ご苦労様、灯雅」
もう、すぐ師匠は怒るんだから。カルシウムが本当に足りてない。
灯雅は気づいた時にはもういなかった。