はらり、ひとひら。


「行こうか」

師匠と天音が頷いたのを、確認する。


懐に仕舞った札の感触をもう一度確かめ、変化した師匠に跨る。今日はどうやら…使う幕がなさそうだ。


天音は、白い羽を大きく広げた。窓辺から、白いものがふたつ、飛び立つ。


「振り落とされるなよ」


「うん─」



**************


「よっ、と…」


ゆっくり地面に足を降ろすと意外と高さがあったようで、足の裏がじん、と痺れた。



「ここは?」


「森の南側だ。例の邪鬼…東雲がねぐらにしている巣が近くにあるようだ。邪気が更に強まっている。杏子、大丈夫か?」


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