はらり、ひとひら。
「行こうか」
師匠と天音が頷いたのを、確認する。
懐に仕舞った札の感触をもう一度確かめ、変化した師匠に跨る。今日はどうやら…使う幕がなさそうだ。
天音は、白い羽を大きく広げた。窓辺から、白いものがふたつ、飛び立つ。
「振り落とされるなよ」
「うん─」
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「よっ、と…」
ゆっくり地面に足を降ろすと意外と高さがあったようで、足の裏がじん、と痺れた。
「ここは?」
「森の南側だ。例の邪鬼…東雲がねぐらにしている巣が近くにあるようだ。邪気が更に強まっている。杏子、大丈夫か?」