はらり、ひとひら。
─ガサッ
突如、茂みから音がした。慌てて振り返ると、なんとそこに居たのは、矢野先生だった。
「えっ、せ、先生!?」
思わず大声が出て口を押さえる。え、なにごとっ!?
先生はいつもの爽やかなスーツでなく、和服だ。意外と似合ってる。
「こ、コスプレ大会…?」
「いやお前が言うな」
いやいやいや!理解が追いつかない。どういうこと!?
「なんで先生、森に?危ないですよ。蛟たちは?」
「もちろんいるぞ。大事な生徒がひとりで邪鬼と戦うとか言ってるのを聞いてな。力になれるかわかんないけど、ほっとけるかって」
にかっ、と笑顔を浮かべた先生。
「…先生っ」
「お。神崎」
神崎くんは和服というより平安貴族みたいな、陰陽師みたいな服装で刀を片手に現れた。用事は終わったようだ。