はらり、ひとひら。


天邪鬼な性格の私は常日頃からひねくれたことばかり言ってしまう。それなのに東雲は嫌な顔ひとつせず笑っていた。


嗚呼、何故こんなにも日々が楽しいのだろうか。


東雲と共に過ごす時間は、何故こんなにも笑顔が溢れるのだろうか。



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「見て、天音。蛍が居るわ」

「あれが蛍というものなのか」

「ふふ。綺麗でしょう」

「あぁ、すごいな…」


初めて見た蛍は、とても美しかった。闇夜に煌めく姿に見とれていると隣の東雲がくすりと笑う。


「天音ったら珍しい。いつもの天邪鬼が嘘みたいに素直ね」

「っ─わ、笑うな!」

「きゃあ!もう、いきなり大声出さないでよ」



春、夏、秋、冬。季節は巡る。飾らない性格の東雲と過ごすうち、自身の絡まった糸くずのような心はゆっくりであるが解けて行った。


─冬に近づき始めた、とある秋の日。


身を寄せ合い、大きな楠の下で他愛もない話をしていたときだった。


「天音。話したいことがある。今までずっと黙っていて、悪かった」

「なんだ改まって…」


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