はらり、ひとひら。


東雲はいつになく真剣な面差しで口を開いた。


「私はもう、長くない。聞いたことはない?肌を焼くような痛みが襲い、いつしか全身に転移する病のこと。…本当は貴女と出逢ったときから患っていた」



「私は最初、瞳に患ってしまったの。けれど…まだマシだと思わない?目が初めに崩れてしまえば、自分の身が醜く崩れていくのは見れないわ。唯一の救いね」


言葉が出なかった。自嘲気味に東雲は笑って目を伏せた。笑いながら話す彼女が、全てを諦めたような笑顔でなんとも痛ましかった。



「黙っていてごめんなさい。この病はひとにうつるようなものではないけれど、遅かれ早かれ私は…いずれ死ぬ。最期を看取ってなんて言わないから、天音。貴女はどこか遠くへ行って。私のことは忘れて、幸せに生きるべきだわ」


「東雲─」


なんてずるい言葉。お前の方から声をかけてきたのに。共に歩いた時間は温かく、一人のときの寂しさがうそのようで…






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