はらり、ひとひら。


病は私の身体を蝕み続けた。


焼け付くような痛みに息すらままならない。命の蝋が尽きるのも時間の問題だ。


この瞳に貴女の姿を…大切な友の姿を、焼き付けておかなければ。


「東雲。病を治す薬草がこの森のはずれにあるらしい。とても珍しいもので見つかるかわからないが、暫く探しに行ってみる」


え…?薬草…?そんなもの今更使ったってだめだ。


もう病は治らない。それならせめて傍に居て─。




最期まで、傍に居てよ。


唇は上手く動かない。伝えたかった。ここにいてと。


心の中、名前を必死に呼び続けた。


でも─天音に私の思いは届かなかった。




< 577 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop