はらり、ひとひら。


「あぁ。何故」


独りは寂しいのに。それは天音も一緒だろう。こんな底冷えする真冬にどこへ行くと言うの。




「天音、…」



いかないで。


凍えそうなほど心は寒いのに、灰になりそうなくらい体が熱い。


おかしくなる、壊れていく。



「どこ天音、まって…おねが、い」


ひとりは嫌だ。怖いよ。叶うならもう一度声を…



手を伸ばしても目を開けても、もうどこにもいない。


友は去った。



「寂し、い─」




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