はらり、ひとひら。
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【杏子side】
今のは天音と東雲、二人の記憶…?
天音が堂を去ってから間もなく東雲は息を引き取った。けれど天音のことが気がかりで、天音を一人にするのが嫌で…会いたくて─その思いから邪鬼となってしまっ
たってこと…?
「私は、馬鹿だ。…なんてことを。すまない、すまなかった東雲…!」
天音は顔をぐしゃぐしゃにして泣き崩れた。そして自らの羽が焼け落ちるのも気にせず東雲を抱きしめた。
「寂しかったんだな…凍えるくらい。最期に、傍に居てやれなくて悪かった。一人にさせてすまなかった」
『は、ふう、ふう……』
邪鬼の荒かった呼吸が次第に静かになる。
「天音…」
思わず手を伸ばしてしまいそうになるが、引っ込めた。あとは…天音が決めること。私が口を出す領分ではない。