はらり、ひとひら。
「ずっと…不安だったんだな。一人で病と闘っていたから。でも、もう大丈夫だ。お前を一人などするものか。私が居る。─もう、離れない。ずっと傍に居よう」
『あ…ぁ』
言葉は届いた。東雲の焼けただれ黒く変色した腕が、そろりと天音の背に回される。天音は今までで一番きれいに微笑んだ。
「痛みも不安も寂しさも二人で分け合おう。私たちは友人なのだから─」
それは魔法の言葉のようで。天音の唇からそれが紡がれると、彼女たちは眩い光に包まれた。
その光がしぼむ直前。『ありがとう』という優しい声がした。それがどちらの声だったかはよくわからないけど─。
光が完全に収まった時、二人の姿もきれいさっぱり消えていた。残ったのは一枚の、抜け落ちた白い羽根だけだ。
「…これで良かったのかな」