はらり、ひとひら。


終わってから考えてしまうのは私の悪癖だ。師匠は空を仰ぎながらつっけんどんに返す。

「良かったに決まっている。二人共に逝けたんだ」


「うん─」


こみ上げてくるものを飲み下し、震える肩を抑えているとわしゃわしゃと髪を乱された。見上げると、そこには二つの笑顔。


「お疲れ様、椎名さん」

「よくやったな!」

「神崎くん…先生」


堪え切れずしゃくり上げたけど、二人は笑わなかった。


「帰るぞ、杏子」

「うん」


めそめそしてしまうのも、私の短所。だけど「感受性が強いのはいいこと」という神崎くんのフォローに少しだけ救われた。


「ありがとう。神崎君、矢野先生」


私の大切な友人。先生は先生だからこの呼び方は不適切かもしれない。でも、同じ景色を見れる貴重な人─かけがえのない友人に変わりはないんだ。




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