はらり、ひとひら。
「ふほ、不法侵入!ぎゃーっ、てかいつの間に!?というより今何時!?」
「なんだ煩いぞ杏子…」
「起きてよ師匠!呑気に寝てないで…!?」
寝起きの頭にこの衝撃は些か大きすぎる。寝ぼけ眼に映り込んだのは灯雅、蛟、雪路が勝手に人の部屋に上がり込んで、仲良く煎餅やらお茶を啜っている姿。なにこれ、ドッキリ…?
「ちょっと待ってなんでうちにいるの!?ね、ねえ!」
まったく聞いていないのか三人は無視。うわ泣きそう心折れそう。なんだこれ。なんて思ってるとドアを叩く音。
「おはよう椎名さん。いきなり押しかけちゃってごめん」
「かっ、神崎くん…!?」
寝間着みられた!
「おーい、傷は大丈夫か?」
「やっぱりいますよね!?…え?傷って、あぁ。まだ痛いです」
「おい。やっぱりってなんだ」
不服そうにしながらも先生は懐から包みを広げてみせた。…薬草?数種類あるようだ。
「これは傷の治りを早くする薬草。すり潰して飲むこと。こっちは痛みを抑える奴な。苦いけどよく効くってさ」
陳列されていく薬草に開いた口がふさがらない。