はらり、ひとひら。



風はそれをしっかりと受け取って、遠くへ往った私の友人のもとへと届けてくれるだろう。


ようやく二人一緒になれたんだ。どこへいっても二人なら、うまくやれるよ。



「─!」



1枚の羽根はひらりひらりと空へ登って、見えなくなる少し前ふたつの重なる笑い声が聞えた。


涙はもう流さない。



「さよなら」


二人身を寄せ合う姿が、瞼の奥に見えた気がした。
< 586 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop