はらり、ひとひら。


「見える人間と会うのは久しぶりだ。話をしないか」


じっと、彼の薄茶色の瞳を見つめ頷いた。見た感じほかの人間はいないし、話し相手がほしかったし丁度いい。


「見ない顔だな。ここらに棲んでいるのか」


と師匠が訊くと、彼は頷く。私はなんだか不思議な気持ちで訊ねた。


「貴方、名前は?」


**************


「杏子、か。いい名前だ」


素直に褒められると照れくさいな…へへ、と笑って彼の横顔に目をやる。


アカバ。そう彼は名乗った。


「ここらも人が通らなくなったな…寂しいものだ」


「そうだねぇ。あんまり森に入る人はいないもんね」




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