はらり、ひとひら。


折角綺麗な景色なのに勿体ないな。そうだ。今度の休みに飛鳥たちを誘ってピクニックにでも来ようか…


それにしてもアカバは柔らかい態度がしみ込んでいる、と思う。普通の野生の妖はもっとこう…アグレッシブでぐいぐいくる感じが多いんだけど。


「アカバは人のことが好き?」


勝手な私の推測だけど、ほとんどの妖は人が嫌いだと思っていた。


人は勝手な都合で彼らの住処を奪ったり、妖を祓うことを仕事にしているひとも居るから。


でもそれは生きていくためだから咎めるわけにもいかないし、そもそも私だって妖に嫌われても仕方ない立場だ。


妖にとって人は、有害な存在なのだろうか。


「別に人は嫌いじゃない。けれど哀しいものだ」



かなしい?首をかしげると、アカバは瞳をゆっくり閉じた。


「ここらの紅葉は、見るなら今が一番綺麗な時期だ。もうすぐ全て葉が落ちる」


「そうなんだ。じゃあ、来週友達と来るのは無理かあ…ってわ、もうこんなに暗い。そろそろ帰らなくちゃいけないや、またね。アカバ」


師匠を腕に抱き、アカバに手を振った。

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