はらり、ひとひら。
「大丈夫ですか?」
「あらあら、すみません」
困ったように、彼女は微笑んだ。…あれ?この感じ。なんだろう、どこかで会ったことあったかなと既視感を覚えながらお茶の葉が入った袋を手渡すと、彼女はぺこりと頭を下げた。
「ありがとうねぇ。優しい子だこと」
「いえ。どちらまで?お手伝いしますよ」
「ふふ、ありがとう。でもねぇ、若い子が森に入ると危ないわ」
どうやら女性は森に用事があるようだった。
「森には神様がいるから。あなたみたいなきれいな子、連れて行かれちゃうわ」
「大丈夫ですよ。お婆さんこそ、一人で行ったら危ないです」
「大丈夫よう。こんなしわしわの、興味もないでしょう」
笑い皺が綺麗なおばあさんだった。上品な仕草と落ち着いた雰囲気に安心感を覚える。おばあちゃん…桜子さんがもし生きていたら─こんな感じだったのだろうか。
「実は私も森に用事があるんです。お手伝いさせてください」