はらり、ひとひら。
異変に気付いた師匠が、毛を逆立てて威嚇している。
「やれやれ。礼儀知らずがこの時世にまだのさばるか」
光が一閃して眩しさに目がくらむ。
気づいたら金縛りはとけ、いきなり解放された体にバランスを崩した私は顔から畳に突っ込んだ。
「いだ!!」
「ぎゃあ!」
あれ、畳のわりにそんなに痛くない。と思いながら薄目を開けると、私が乗っかっていたのは見知らぬ妖だった。
うわ、思い切り潰しちゃった!
「ごめん!大丈夫!?」
かなりの勢いで突っ込んでしまったんだけど…!
「し、しっかりして!」
「うっ…」
「杏子そんなに揺するな」
「あ、ごめん」
ぱかりと開いた切れ長の瞳と目が合う。あ、凄いきれいな目の色。女性的な顔立ちをしているけど、男の妖だろうか。すると妖は目を瞠って唇をわななかせる。