はらり、ひとひら。
「これを」
かさりと、音を立てて袖口から現れたのは色あせた一枚の紙だった。
「地図?」
色あせていて所々かすれ消えてしまっているけれど、地図だ。中心には、いびつな【☆】マーク。
「昔、仲良くなった人の子に貰ったものです」
…また人間繋がりか。何回も妖と人の親交とそれの結末を見て来たから、どうしても悪い方へ考えがシフトしてしまう。
「随分年季の入った感じだね」
「はい。ざっと50年は昔です」
「50年!?」
どうりで古そうだ。それより、☆マークのところには、何があるんだろう。気になるけれど生憎私は地理の大の苦手科目である。
「師匠、これどこら辺を示してるか分かる?」
「鳥居の絵が小さくあるが神社なんてこの町に腐るほどあるし、地図自体大雑把すぎる」