はらり、ひとひら。
今日は、一段と寒い。
妖は、寒さも暑さも感じないと言われているが私は何故か、少し感じるのだ。
人間的要素が生まれつき多く備わっているんだろう。特に得をしたことはないが、別に損をすることでもなかった。
「それにしても…」
本当に雪でも降ってきそうな空だ。雪を見ながら酒を呷るのも一興だが、いざこの貫くような寒さを前にするとさすがに堪えるな、と諦め住処にしている社へ帰ることにした丁度その時。
「寒いよねえ」
人の姿を見たのは、初めてだった。
学生服に身を包んだ、目が印象的な女。落葉し寒々しくなった木に危なっかしく足を引っ掛け、細い枝に座り込んでいる。
「人か…」
「あなたは人じゃないんだ?」