はらり、ひとひら。


「ざくろが人の身の寿命を終えるまで、共に添い遂げようと約束しました。あの子はどうやら家庭に問題を抱えていたようで、学校でもうまくいっていない様子で─じきにすべてを捨て、私に着いて来てくださいました」


ざくろさんはきっと不器用で、優しい人だったんだね。



「数年後、私とざくろの間には子ができました」


人と妖の間にも、子どもが出来るの?と口を挟みそうになったけど、琥珀は黙ったまま項垂れ頭を振った。


「けれど、死産でした。…その後も、またその後も。三番目は無事に生まれ、順調に育っていましたが、3つの時に病で死にました」


「そんな…」


師匠は琥珀を一瞥すると静かに呟く。


「本来人と妖の間で子が出来ることの方が珍しいが、こと生まれてくる確率も育つ確率も少ない。種が違うゆえ、必定だ」



幸せの結晶をつくることすら出来ないなんて。
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