はらり、ひとひら。
「全て覚悟の上ざくろとは夫婦になりましたが、本人は気を病んでしまったのでしょう。ある日、この地図と置手紙と共に、ざくろはいなくなりました」
手紙には短く謝罪の言葉と愛を綴る言葉があったと。
「恋情は難しく、厄介なものですね。好いた女に、普通の幸せすらくれてやれない自分が恨めしい」
琥珀はひび割れそうな笑顔で笑った。
それは違うよ、と言いかけて、何も声にならなかった。
「必死にざくろを探そうと、地図を頼りにそれらしきところへ行ってみても何もない更地で。目撃情報も何もなく─もう、いなくなって50年は経ちます」
50年。
琥珀はざくろさんを待ち続けた。そして頼みの綱として掴んだのが、私だったんだ。
…絶対に、どうにかしてあげたい。
「琥珀、記憶を頼りに案内して」
「は。…しかし、本当に何も」
「地中に何かヒントがあるかもしれない」