はらり、ひとひら。
おぼつく手元を叩いて、しっかりと土を掘り進める。
「あ…」
零れた声は誰のものだったか。
あった。缶だ。お菓子の缶。周りの土を払って地中から取り出し、軽く振ってみると中でからん、と軽い音がした。
茫然とする琥珀に箱を手渡すと、震える手で彼はそれをしっかりと受け取った。
「…開けてみて」
「はい…」
高鳴る胸が抑えられない。
中には小さな包み紙。幾重にも重ねられている。ゆっくり剥がし、ようやく露わになったものに琥珀が短く息を呑む。手元を覗き込んだ。
「櫛…?」
出てきたものは、なんの変哲もない赤い櫛だった。
「これは?」
「ざくろへ贈ったものです、祝言をあげる前日に…」