はらり、ひとひら。
琥珀は大層驚いた様子で櫛を見つめた。
「いや、しかし何故これが…」
確かに少し、腑に落ちない。ざくろさんはこの櫛に一体どんなメッセージを込めたんだろう。
櫛を包んでいた包み紙を見ても、特に添え書きも何もない。…謎がさらに深まっちゃったなあ。
うーん、と頭を捻っていると急に背後から嫌な気配を感じる。
「っ、師匠!」
肉刺から出た血の匂いにつられてやって来た妖たち。師匠の閃光で消し飛ばされたけど、なんか。
「数多くない…?」
「チッ。そのようだ。雑魚どもが忌々しい」
「椎名様、危険です下がって」
にやにやと笑む妖にぐっと口を噛む。今はあなたたちに構ってる暇なんてないんだってば。
「杏子、札は」
「ないよ」
「なんで携帯しない。何のための札だ」
「う、だって…」