はらり、ひとひら。
本気だ。
二人は本気で私を守ろうとしてくれている。だったら私も、それに応えなきゃ。
「人の子!!血肉にしてくれる!そこをどけえっ」
─考えて。
札がない。ペンのような書くものもない。紙はあるけど、ざくろさんの櫛を包んでいた包み紙はもうぼろぼろで使えそうにない。
文言はつまり書けない。札の代用も効かない。
札がなければ術は威力を発揮しない。覚えている文言を唱えてもただの声にしかならない、言霊じゃ対応しきれない。一体どうすれば…
ぎゅっと握りこんだ手に血が滲むのがわかる。ぬるついた感触に、頭の中が冴え渡った。
「血…」
これだ。
「っ」
はやる気持ちを抑えきれずに、私はおもむろに傷口を開いたり圧迫したりと、とにかく血をにじませた。
でも足りない。まだ、これじゃ。