はらり、ひとひら。


「はい、本当に」

「機転が利くようになってきたな。これからも私がビシバシ鍛えてやろう」


えええ…もう、胆が冷えっぱなしだったから正直勘弁してほしいんだけどな。


「ねえ師匠、さっきの私の術のやり方って本当にあってた?これも術式の一環なの?」


「ん?あぁ、わかりやすく言えば応用編だな。札の代わりとして人体を使うのは別に珍しいことじゃない」


「へえ」


「札は言ってしまえばただの紙。紙と人体では重みが違う。含まれた魂の重さがな。より尊きものが基盤になっているゆえ、効力は普通の倍以上に跳ね上がる。その分、負担や危険も伴うがな」


あぁ、だから空き地開拓しちゃったわけね…納得。


「本来血文字でなく墨や紅で書くが、今回は用意できていなかったからな。血で更に威力増大、修羅の血ならいっとう強い。…当然だな。
そして現在祓い屋の間では、強敵や大勢の妖連中を祓う為札よりもこの人身犠(ひとみぎ)の術が使われている」
< 654 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop