はらり、ひとひら。


ふと、足元にざくろさんの櫛が落ちているのを見つけて拾い上げる。皮膚を傷つけるときに、取り落しちゃったんだ。


「ごめん、貸してくれてありがとう」

「ああ、いいえ」


土を払って、琥珀に手渡す。


「あ…ちょっと血で汚れちゃってる。ごめんね、大事なものなのに…家に帰ったら綺麗にするから。それまで預かっていていい?」



返しに行くから─そう言いかけた瞬間。


私の手の内で、ぶるりと櫛が震えた。生きモノみたいに。



「きゃあ!?な、何っ─」


ばきり、櫛は音を立ててひび割れていく。さながら卵のようだ。そう、まるでこれから何かが生まれてくるような─


「っ」


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