はらり、ひとひら。


「待ってください、話が見えません。そもそも黄泉がえりってなんですか?」


根本的にこれがまずよくわかっていない。話にならないから、一から教えてもらおう。



「…私もよくわかってないんだけどね。わかりやすく言うと、一度死んだあとにもう一度妖になって生き返る、みたいなことを言うらしいのね」


「蘇る…ってこと?あ」


よみがえり、黄泉がえり。そういうことか。


「黄泉はあの世のこと。万物の魂の行きつく先、最果てだ。黄泉への入口はあちこちにあるが、普通人は意図して開けない。死んだら勝手に引っ張られるのが人、開ける力を有している妖は自由に開けられるし、自分自身が扉になれる」


死んだ魂がいく場所が黄泉ってことね。じゃあ、ざくろさんは一度亡くなったってことか。


「黄泉がえりの成功率は極めて低い。一度黄泉の国へ入ったあとにもう一度地上へ戻るなど、普通はありえない与太話だ。人の身ならば尚更。だが…」


「そう。私は戻って来たの。戻ってこれたの」


それはつまり─
< 660 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop