はらり、ひとひら。
「び、ビビりました…」
「はは、ごめん。それにしてもすごい跳躍力。さすがだね」
「褒めてないよそれ~…じゃなくて、どうしたの?」
そうだった、と思い出したように神崎君は言った。
「一緒に帰らない?」
あぁ、一言がこんなにも嬉しいなんて。
「もちろんっ」
桜並木を、彼と並んで歩く。今まで気付かなかったけど、神崎君ってけっこう足大きいなぁ…背が高いから当たり前なんだけど。
うーん、それにしても。手も綺麗だし、顔立ちなんて綺麗すぎてちょっと怖いくらいだ。本当に非の打ちどころがない…頭もいいし、強いし。
うわ、なんか本当に叶わない恋な気がしてならない。悲しい。
悲観してつらくなり、顔を上げて並木を見た。綺麗なピンク色は何度見ても飽きることがないし、心を落ち着けてくれる。
「桜って、なんでこんなに綺麗なんだろう…」
「ね。本当に」
無意識にぼーっと呟いた言葉に返事が返ってきて、ちょっとだけ恥ずかしい。