はらり、ひとひら。


そういえば師匠と出会ったのも春だった。ちょうど今から三年前の春。森で妖に追われて、咄嗟にたどり着いたのがお墓で─木に貼ってあったお札を剥がしたら師匠が出て来たんだっけな。


白い毛の九尾の妖狐、私の後見人、兼ボディーガード。好物は油揚げで、寒がりで、それから…


…あれ?私、よくよく考えてみると師匠のこと全然知らない。そもそもなんで封印されてたんだろう?


─誰に?なんのために?


あれほどの強い妖力を持つ師匠を封じられるのって─相当強い祓い屋なんじゃないか。


というか封印されるってことは、相当やばいおイタを働いたってことなんじゃ。師匠、何やったんだろ。若気の至り?



気になるけど、絶対教えてくれなさそうだなあ。一人前になった時にでも話してくれるだろうか。



「椎名さんは桜に似てるね」

「へっ?」



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