はらり、ひとひら。
唐突に告げられ、面食らう。
「桜に?え、私が?そうかな、似てる…?」
「うん。似てるっていうか、桜が似合うよ。すごく」
「ほんと!?わ、嬉しいです…桜の花大好きなんだ」
大好きな桜が似合うなんて、この上ない褒め言葉だ。正直嬉しすぎる。
「でも神崎君も似合うよ。桜じゃなくっても花全般似合うと思う」
「そう?」
「紫の花とか凄く似合いそう。藤とか菖蒲とか…」
「あぁ、綺麗だよね」
藤棚に立つ神崎君を少し想像したら似合いすぎて怖かった。
「あ。そうだ、神崎君は進路決まった?」
「え?」
三年次になったらいよいよ向き合わなければいけないのが進路だ。こればっかりは頭を悩ませてしまう。大事なことだし。
「俺は家を継ぐよ。妖祓いの依頼は絶えないし、困ってる人もいる。この家を絶やすわけにはいかないんだ」