はらり、ひとひら。
真摯な迷いのない声だった。
ガラス玉に似た目に宿る、確かな情熱。ああ、またそうやって。引き込まれていく。
「椎名さんは?」
「言いだしっぺなんだけど実はまだ未定で…あはは」
就職か、進学か。ともかくどちらかにまず絞らなきゃ始まらないよね。
でも─巫女はどうなるんだろう。私がいなくても祓い屋はたくさんいるから困ることはないだろうけど。
妖も人も大事だから、忘れたくない。どっち、なんてまだ選べない。
「こっち」
「え…っ」
心を読まれたのかと思ったが、違った。
神崎君に手首を思い切り引かれて、私は桜の木と彼に挟まれて動けない。
「え!?」
「しっ」
ち、近い!!な、なんだこれ。何のご褒美…!
私の顔の横に、神崎君の手。ぐっとさらに近づく距離に、息遣いまで鮮明に聞こえる気がして私はぎゅっと目を瞑った。