はらり、ひとひら。
みお、か。反芻していると強引に手首を引かれてそのまま体が浮いた。
「ちょっ、待っ─あ、危ないってば!か、神崎君。悪いんだけど師匠に伝えておいてくれる?あと、一緒に帰れなくてごめんね、また次の日─」
徐々に遠くなる彼の顔に向かって叫ぶ。えっと、あと言い残したことは…
「─ごめんね迷惑かけちゃって。だけど、私大丈夫だからっ」
だからそんなに、悲しそうな顔をしないで。
ひどく傷ついた顔の神崎君に得も言われぬ思いが心を占めて、ああ、と心の澱みが積もるのを静かに感じていた。
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【真澄side】
いつも。いつもこうだ。
危険な目に遭わせてしまう。
俺は─たった一人の女の子も護れないのか。
「…椎名さん」
唇を噛み締めると鉄くさい味が口に広がって、苦みに顔を歪めた。