はらり、ひとひら。


みお、か。反芻していると強引に手首を引かれてそのまま体が浮いた。


「ちょっ、待っ─あ、危ないってば!か、神崎君。悪いんだけど師匠に伝えておいてくれる?あと、一緒に帰れなくてごめんね、また次の日─」


徐々に遠くなる彼の顔に向かって叫ぶ。えっと、あと言い残したことは…


「─ごめんね迷惑かけちゃって。だけど、私大丈夫だからっ」


だからそんなに、悲しそうな顔をしないで。


ひどく傷ついた顔の神崎君に得も言われぬ思いが心を占めて、ああ、と心の澱みが積もるのを静かに感じていた。




**************


【真澄side】


いつも。いつもこうだ。


危険な目に遭わせてしまう。


俺は─たった一人の女の子も護れないのか。


「…椎名さん」


唇を噛み締めると鉄くさい味が口に広がって、苦みに顔を歪めた。


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