はらり、ひとひら。

後ろめたさが残って唇を噛んでいると、灯雅は首を傾げた。


「その顔、あの子が妖に攫われでもしたかい？」


…察しが良すぎる式神に頷いた。


「それで主はまたウジウジ悩んでるわけかい。あの子は自分の意思で着いて行ったんだろう？」


そもそも攫われるほど柔じゃないだろうし。と灯雅は笑った。


「それは、そうなんだけど」

「じゃあいいじゃないかい、ほっとけば」

「…でも」

「あ～、全く。そんなに好きかい。あの子が」


…すき？は。え？突然。


「それは、好きだけど」


大事な友達だし。…ともだちだし。……あれ？


変な感じがグルグル胸を回って混乱していると、灯雅はにやにや笑ったまま俺の肩に止まる。



「女の子として守りたいって、思ったんじゃないかい？」