はらり、ひとひら。
白狐の言葉は俺の心に静かに刺さって、毒のようになかなか抜けずにいた。
【杏子side】
もう何分くらい空の散歩をしているだろうか。どこまで行くんだろう。
「えーっと、澪は人魚なのに空が飛べるんだね?」
「…」
え?無視!?
「着いたぞ」
シカトされたのか聞こえなかったのか、澪は悪びれもせず私を地面に下ろした。
大きな池が目に入る。こんなところあったんだ。
「あなたの住処?」
随分大きな池。澪はそれには答えずに静かに呟いた。
「池の水に触れてみろ」
「水?」
一見ただの水(少し濁ってるけど)のようだけど─池の水に触れた刹那、びりびりと身体に走る衝撃に目の前がくらむ。
熱い。
「っ!何─!」
咄嗟に澪に目をやると、顔を愉悦に歪める彼女がいて。