はらり、ひとひら。
「っ、や、嫌だっ…」
澪の姿がどんどん霞んでいく。駄目だ、嫌だ、何これ!水にほんの少し触っただけで、こんな。
─騙された?初めから、澪はこれを狙ってた。
「っあなた、修羅の血が狙いだったの…?!」
「…悪く思うな」
「お前を利用させてもらうぞ」
澪の真冬の氷のように冴えた声が、耳についた。
「な、にを…」
…どうして。
冷めた目で見下ろす人魚がどんどん、遠くなっていく。
意識はそこで途切れた。
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「う…」