はらり、ひとひら。


ずきんと痛みが響くこめかみに触れる。…違和感があった。なんだか酷く冷たいし、不思議な匂いがする。


いや…そんなことはいい。ここはどこだろう。


さっきの池の周りじゃないことはすぐわかる。真っ暗で、なんだか洞窟の中みたい。
ぴちゃん、ぴちゃんと雫の垂れる規則的な音がやけに響いていた。


幸い体を拘束するものもなく、自由に動ける。でもやっぱり、さっきの水の痺れがとれないのか、うまく歩けずもどかしい。…早く出口を探さなきゃ。


「あ」


少し先へ進むと光る水面を見つけた。洞窟の天井から垂れた水が溜まったんだろうか。水たまりのようになっている。


なんとなく覗き込んでみると、なんだかおかしい。映り込む人影には、違和感があった。



私、髪の毛こんな色だったっけ?それに─こんな顔だったっけ。


そこまでしてようやく気づく。



「う、嘘っ」


私じゃない。







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