はらり、ひとひら。
さあっと血の気が引いていく。
うそでしょう。
辺りを見回せば、いつもより一段低く見える景色。
立って歩いていたと思っていたが、違ったらしく。足元へ目をやると見慣れた足はなく、代わりにひれがついていた。鱗に覆われた、魚のような。
にわかに信じがたいが、髪も顔も、身体も、さっきまで見ていたひとりの人魚とそっくりそのままのものになってしまったのだ。
…つまりこれって─
「澪と、身体が入れ替わってる…!?」
「その通り」
「!」
ざっ、と人影が現れた。私を見下ろす、…私。
いや、私の皮を被った人魚の妖。
「ここまで順調に進むとは、想像してもなかった」
「澪…何が目的!?今すぐもとに戻してよ!!」